ベトナム社会文化研究会(仮設)
 

 ベトナムは、遣唐使の阿倍仲麻呂からベトナム戦争、近来の経済関係にいたるまで日本と深い関係にあるにもかかわらず、情報はごく一時期の歴史や政治経済関係に偏っていて、その社会文化についての理解は不十分である。最近ようやく市民レベルでの交流も始まり文化に関する書物も増えているが、表面的印象を綴った旅行記を超えないものが大半である。社会文化の十分な理解には、長期滞在による集中調査を主要な方法とする文化人類学に課せられた責任は重い。1990年代に入って、歴史学が先行する形で現地調査が行われるようになった。現在でも、自由に長期の現地調査が行える状態ではないが、それに近づく形での調査が試みられ、結果も出始めている。人類学だけでなく、歴史学を始め諸分野による現地調査はそれぞれ補完的効果をもつものであり、とくに現在のような変容の激しい時期においては、その協力による総合的把握は必須のものですらある。

 当研究会は、もともと、自主ゼミとして、1992年から東京大学東洋文化研究所で週1回有志が集まって開かれ、WoodsideのVietnam and the Chinese Model、Cadiereの樹木崇拝や葬式についての論文、Phan Ke BinhのViet Nam Phong Tucなどの購読やそれぞれの個人発表を行ってきていた。そのうち、メンバーがフィールドに出る機会も増え、また、メンバー以外の現地調査も活発に行われるようになった状況から、むしろ広い交流の場とする方がいっそう意味があると思われ、周辺のベトナム関係研究者に広く呼びかけることにしたものである。

Research Group for the Study of Society and Culture of Vietnam

All Rights Reserved.