羽化

2012年7月29日日曜日

社屋の門柱に蟬の抜け殻がありました。昨日あたりからあたりでミーンミーンと鳴いているヤツのものでしょうか。ご苦労さま。今朝は頭上にアゲハチョウが3、4頭(こう数えるらしいです)飛んでいました。小さな庭ですが、夏みかんが枝を伸ばし適当な木陰をつくっているので、毎年このような生命の循環を見ることができます。


事務所に入り、汗がひくまでの間、ちょっと会社としての循環を考えてみました。資金を投入して本を作り、出来た本を売って資金を回収し、というサイクルが基本ですが、それ以外に、本によって読者や次の著者を創っていくというサイクルや、著者や本によって小社のイメージが創られていくというサイクルもありますね。


また、直接間接に税金を納め、それによって成立している社会の一員として、活動を続けているというサイクルもあります。普段はあまり意識していませんが、創業20年にして初めて税務から調査に入るという通知がありました。決算の時に大慌てでいろんな書類・伝票をかき集め、税理士さんにご苦労をおかけしていますが、3年分はさかのぼるという調査に、もはや整理など不可能と諦め、まな板の上の鯉といった心境です。


さて、電子書籍もここに来て急展開です。アマゾンやら楽天やらが本格的に乗り出してきて、いよいよ待ったなしの電子本時代。うかうかしているうちに小社など乗り遅れてしまいそうな様相です。こちらもやけっぱちの出たとこ勝負という構えになってきています。


新しもの好きな社主ですので、キンドル初代はもちろん、その前のボイジャーやらソニーやらの試みにも注目はしてきましたが、創業前にDTP研究に打ち込んだほどの情熱が、なぜか湧いてきません。


歳のせいか、勤続疲労か、感性の衰えか、ま、すべてあてはまるでしょうが、それ以外にあるとすれば、電子本というものが、どうもモノづくりのワクワク感を与えてくれないことも要因の一つなのかと思っています。


インベーダーゲームには少しはまったものの、その後のファミコン&ゲーム文化にはほとんど無縁の生活でしたから、画面の中のバーチャルな世界にリアリティを今ひとつ感じない人間に育ったのかもしれません。


活字の中の仮想世界には思いっきりリアリティを感じるのに、なんか変ですね。へそ曲がりな性格が、あまりにリアルにお膳立てしてくれるのを、余計なお世話と拒否しているのかもしれません。


それはそうとして、電子本への準備はそれなりに進めてはおります。小社の本はほとんどDTPによって作ってきましたので、電子データの蓄積はありますし、ソフト的にはすぐに電子本データとして書き出せるものも多いのです。


どこでどのようにデビューさせるか、蟬くんではありませんが、羽化の準備は整っています。著者の皆さん。近いうちに電子本への許諾をお願いすることになろうかと思いますが、(すでに契約書に書き込んでいる方にも、もちろん、ご連絡いたしますので)その節はどうぞよろしくお願いいたします。


いや、それにしても暑いです。くれぐれもお大事に。